電子基準点だけで水平数 cm。DPPK Processor を使った UAV PPK の実務検証とワークフロー
1.はじめに:UAV 測量の精度は「前処理」で決まる
UAV 測量はここ数年で一気に普及し、RTK 搭載機も一般化しました。
しかし、実務で運用していると次のような悩みに必ずぶつかります。
- RTK の垂直精度が安定しない
- 電子基準点を使った PPK をしたいが、ソフトが高価
- 公共測量 2024 の元期変換が面倒
- Metashape / WebODM に渡す座標の前処理が手間
特に 垂直精度の不安定さと 元期変換の煩雑さは、調査士・測量士にとって大きな負担です。
こうした課題を解決するために、私はWindowsアプリ DPPK Processor を開発試験導入しました。
この記事では、実務者の視点から 精度検証・使い方・メリット・注意点をまとめます。
- DPPK Processor とは
DPPK Processor は、栗田土地家屋調査士事務所が開発している 電子基準点また任意基準局を使った DJIのPhantom4RTKやMavic3E+RTKなどのPPK 専用ソフトです。
特徴を簡単にまとめると:
- 電子基準点データを使った PPK に対応
- 同時に最大 3 点の電子基準点を利用可能(3次元網平均計算)
- 元期変換(2024対応)を自動化
- WebODM / Metashape /Pix4Dなど主要 SfM と連携
- JPEG の EXIF GPS タグ書き換えに対応
- 無償で利用可能(現在)
特に、元期変換を自動化できる点は、公共測量に携わる実務者にとって非常に大きなメリットです。
- 実務で感じたメリット(3つ)
① 電子基準点だけで水平数 cm の精度
実際に複数現場で検証したところ、
電子基準点のみでも水平は数 cm の精度が安定して出ました。
RTK のように電波状況に左右されず、
「後処理で確実に精度を出す」という意味では非常に強力です。
② 元期変換(2024対応)を自動化
公共測量では、
・2024元期
・地殻変動補正
・ジオイド補正
これらを正しく扱う必要があります。
DPPK Processor はこの部分を自動化してくれるため、座標処理のミスが起きにくいという点で大きな安心感があります。
③ Metashape / WebODM/Pix4D との相性が良い
出力されるテキスト座標データは、
・Metashape
・WebODM
・Pix4D
などの SfM ソフトにそのまま投入できます。
特に WebODM との相性が良く、
低コストで高精度な UAV ワークフローを構築できます。
- 精度検証:電子基準点のみ/任意基準局併用/GCP併用
ここでは、私が実際に行った検証結果をまとめます。
● 電子基準点のみ
・水平:数 cm
・垂直:10 cm 前後
公共測量の許容範囲には入りますが、
垂直方向はやや不安定です。
● 任意基準局を併用
・水平:5 cm 以内
・垂直:5 cm 以内
電子基準点との距離が遠い場合でも、
任意基準局を併用すると精度が安定します。
● GCP を 1〜2 点併用
・垂直精度が劇的に改善
・モデル全体の安定性が向上
特に垂直方向の精度が重要な現場では、
GCP を少数だけ置くのが最も効率的です。
- DPPK Processor のワークフロー
① UAV のログデータを読み込む
DJI のログを読み込みます。
② 基準局を選択
電子基準点を 1〜3 点選択します。
③ 電子基準点データを取得(自動)
国土地理院の「電子基準点データ提供サービス」から RINEX を取得します。
④ 位置補正解析
⑤ 元期変換の設定(自動:特に変更したい場合は補正パラメータ変更)
公共測量 2024 に対応した元期変換を自動で適用できます。
⑥ 座標を出力
EXIF 書き換え
Metashape 用 CSV
WebODM 用 TXT
など、必要な形式で出力します。
⑥ SfM ソフトに投入
Metashape / WebODM / Pix4D に画像とともに読み込んでモデル化します。
DPPK_Prossecerのフローチャート

動画再生
基本的な使用方法は動画を参考にしてください。
操作動画
6. 他ソフトとの比較(公平に?)
| ソフト | 価格 | 電子基準点 | 元期変換 | EXIF書換 | 難易度 |
| DPPK Processor | 無償 | ◎ | ◎ | ◎ | 低~中 |
| REDToolBox | 有償 | ◎ | △(手動) | ◎ | 中~高 |
| PPK Go | 有償 | ◎ | △ | △ | 中 |
DPPK Processor は「無料でここまでできるのか」というレベルの機能を備えています。
7. 注意点
- 垂直精度は電子基準点のみだと 10cm 前後
- 斜め撮影が必須
- ダウンロードやインストールの際にWindows が警告を発する(コードサイニングなし)
- まだ開発途中で、バグを見つけ次第更新中
ただし、これらは実務で十分許容できる範囲です。
8. まとめ:電子基準点 PPK の“現実的な選択肢”
DPPK Processor は、
- 電子基準点
- 元期変換
- UAV PPK
- SfM 前処理
これらを一つのワークフローにまとめられる、
実務者にとって非常に現実的な選択肢と考えます。
特に、公共測量 2024 に対応した元期変換を自動化できる点は、
他のソフトにはない大きな強みです。
UAV 測量の精度を安定させたい方、
RTK の限界を感じている方、
低コストで高精度なワークフローを構築したい方には、
ぜひ一度試して見てください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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