Phantom4RTKの実力を検証

1年ぶりにPhantom4RTK(P4RTK)の実力を検証してみました。
前回は電子基準点から2Km以内の検証でしたが、今回は電子基準点から10Km以上の場所で検証してみました。
使用したソフトウェアは前回同様WebODMと後処理にRTKLIBと自作したP4RTK用のExifファイル作成ソフト(撮影時の機体の位置の補正及びアンテナとカメラの位置の補正)及びF6Exif(Exifを上書き)、オルソー画像と座標点の重ね図にQGISを使用しました。
GCPにはWebODM用にArUcoマーカーを用いてPythonのAI機能(画像認識機能)を使用してGCPファイルを自動生成させてみました。
ArUcoマーカーを用いた理由はPythonで既に画像学習されているマーカーであるため、画像学習をさせる必要が無いので使用してみました。

ArUcoマーカー例


1枚目の写真は、一番近い(距離10Km以上)電子基準点1カ所を使って後処理したものです。
2枚目の写真は、近傍の3カ所の電子基準点を使って後処理したものです。
3枚目の写真は、TSによる測量から求めたGCP点2点を使用して処理したものです。

電子基準点1カ所を使って後処理したもの
電子基準点3カ所を使って後処理したもの
GCPを使って処理したもの

検証の結果、電子基準点からの距離が2Km程度であれば1カ所の電子基準点での後処理でもそれなりの精度を確保できますが、それ以上になるとcm単位の精度確保が難しくなることがわかりました。
わかりづらいですが最後の写真の丸点があるところが基準点の金属プレートですが、1画素1cmですので10Km以上電子基準点から離れると1電子基準点での後処理では5cm以上の誤差が発生しています。さすがGCPを2点しか設置しなかったもので処理しても誤差はmm単位の誤差で収まっていることがわかります。電子基準点3点を使用して処理したものはcm単位の誤差で処理できるのがわかると思います。電子基準点3点を使用する場合、今回は時間の都合とP4RTKのRTK精度が1cm+1ppmであることを考慮し電子基準点からの距離の加重平均でP4RTKの位置の近似位置を算出したのですが、基線ベクトルを基に最小自乗法で処理すれば、もっと誤差を抑えられるのではないかと考えております。今後ソフトの改良を考えてみたいと思います。
今回はD-RTK2との検証はしていませんが、D-RTK2を使用したRTK測位は電子基準点は考慮しなくても良いので今回の検証には使用していません。前回でcm単位での処理ができることは検証済みですので。

追加情報

 上記は、電子基準点の座標を元期で処理していましたが、電子基準点の座標を今期とし、UAV側も今期でキネマティックで測位したものを元期に変換した後にsfm処理すると、上空の条件が良ければ電子基準点から20Km以内であれば、1㎝以内の誤差で処理が可能になることが判明しました。3電子基準点での網平均計算することなく、1電子基準点でそれなりの精度で測位が可能であることがうかがえます。
 下の写真は、電子基準点からの距離約10kmと約17kmの場所を電子基準点座標を今期として、あらかじめ今期で測位した後、元期に変換して処理したものです。

電子基準点からの距離約10km、今期にて測位したものを元期に変換し処理したもの
電子基準点から距離約17km、今期にて測位したものを元期に変換し処理したもの